発酵コラム 17

かつお節の種類

荒節と枯節の違い、どちらが発酵食品?

カツオは生で食べてもおいしい魚ですが、その身は柔らかく、すぐに傷んでしまいます。 今のような冷蔵・冷凍技術のないころは、その身を煮て天日で乾燥させて食べていました。
大事なたんぱく質であるカツオを長く保存するための知恵から生まれたのが、かつお節なのですね。
江戸時代初期に紀州で現在のようなかつお節が誕生したと言われており、和食にとって欠かせないものとなっていきます。
かつお節は、大きく分けて「荒節」と「枯節」に分かれます。 「荒節」は、カツオの切り身をを茹でて骨を取り、燻製を繰り返したものです。 表面が黒くゴツゴツしていて、魚の風味がわずかに残り、鍋ものやめんつゆなどにぴったり。
そして、「枯節」と呼ばれるものが、カビをつけて発酵させた「発酵食品」となるかつお節です。 荒節の表面を削り、天日で干し、カビを付着させてむろに入れ、また天日で干し、カビを落とす作業を2回以上繰り返します。 荒節で25%残っていた水分が20%ほどまで落ち、魚臭さやえぐみが少ない澄んだ出汁がとれるようになります。

そして、枯節よりもさらに何度もカビ付けをしたものが「本枯節」と呼ばれます。 特に決まりはないようですが、4~6回程度カビ付けと乾燥を行うことが多いようです。
驚くほどの手間と時間がかかるのですね。
荒節で完成まで1ヶ月程度、そこからさらに3~5ヶ月かけて生まれる本枯節は、水分が15%以下となり、 とんでもなく硬い食べものになります。その硬さは釘が打てるほどなのだとか。
出汁をとると、魚臭さはさらに感じなくなり、雑味がなく、旨味や深みが出て美しい琥珀色となります。
スーパーなどで出回る一般的なものは荒節が多く、当然のことながら本枯節は高級品。 料亭やこだわりの和食店などでは、本枯節がよく使われています。

そういえば、かつお節を1本まるまる手にすることってあまりありませんね。 削りたてのかつお節は香りがよくてとても美味しいそうです。 削り器とかつお節を1本手に入れて、炊きたてのごはんにふわっと削って醤油をたらり。 そんな贅沢な「ねこまんま」ならもう立派なごちそうですよね。

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