発酵コラム 10

くさいけど、おいしい!?

発酵食品の中には、素材や菌、発酵方法によってとんでもない匂いの食べものがあります。
有名なのは納豆ですが、日本で一番くさいと言われるのは「くさや」。
「くさや」とは、魚の干物の一種で、独特の発酵液に浸けて作る伊豆諸島の特産品です。
昔、釣った魚を江戸まで運ぶ際、貴重な塩を節約するために塩水に浸してから干すようになったことから始まったとされます。
そして、「鮒ずし」も独特の匂いがすることで有名ですね。
「鮒ずし」は塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させた「なれずし」の一種で、滋賀県で旅の保存食として昔から食べられていました。
五穀豊饒を祈る神社の祭礼に神撰として奉納されることが多いそうです。
好き嫌いはありますが、上質な「鮒ずし」は匂いもそれほど強くなく、チーズのような香りがするそうですよ。

海外に目を向けてみれば、比べ物にならない激臭の発酵食品があります。
世界でいちばんくさい食べものとして有名なのは、「シュールストレミング」!
ニシンを塩漬けにして発酵させ、その後に缶詰にしたスウェーデンの保存食で、「くさや」と同じく塩を節約するために塩水に浸けたもの。 塩水に浸けると、塩漬けより塩分濃度が低くなるので発酵がどんどん進み、缶の中でも発酵がとめどなく進むため強烈な匂いの食べものとなるのです。
そして、世界2位は韓国の「ホンオフェ」。 ガンギエイを壺に入れて10日間発酵させたもので、強烈なアンモニア臭を放ちます。 口の中に残っていると、ただれてしまうほどの強いアンモニアなのだそう…。 今では、色々な保存技術があり、わざわざ食べなくてもいいような気もしますが、伝統料理として受け継ぐことも大事なのかもしれません。
一度くらいは試してみたいような、みたくないような…。

その他の発酵コラム