発酵コラム 20
世界のお酢とお酢料理
寿司、酢の物だけじゃない!
上手に使って、お酢の健康パワーを取り入れよう
「食酢」は、原料をいったん「酒」にし、酢酸菌で発酵させた発酵食品。
その起源は、紀元前5000年頃のバビロニアにてナツメヤシや干しブドウの酒より造られたと言われています。
その土地で採れる農作物が原料として使われるため、様々な種類のお酢が存在し、その土地の料理に使われてきました。
日本で酢が造られるようになったのは、4~5世紀頃。中国から酒を造る技術とともに米酢の醸造技術が伝えられ、和泉の国(今の大阪府の南部)で造られるようになったのがはじまりとされています。
当時のお酢は朝廷や貴族など、一部の人のもの。庶民には手の届かない贅沢品でした。
酢が調味料として一般に広まったのは江戸時代になってから。お酢の製法が全国各地に広まり、お酢料理もたくさん生まれました。
日本でいちばん一般的なのは、やはり米を原料とした「米酢」で、米の旨みと甘みがあり、まろやかな角のない酸味が特長。
寿司や酢のものなど、日本食には欠かせない調味料です。
欧米では、りんごやぶどうを原料とした「果実酢」、中国では、玄米を使った「黒酢」が多く作られています。
フィリピンやタイ、ベトナムなどでよく使われるのは「ダトゥプティ ビネガー」というサトウキビを原料とした酢。
スパイスやにんにくが入ったものもあるようです。
酢の種類以上に酢を使った料理が世界中にあります。
「チキンフリカッセ リヨン風」は、フランス南東部、リヨンの郷土料理。
バターでこんがり焼いたチキンを生クリームや酢を入れて煮込みます。
日本では、クリームのみのレシピが多いですが、フランスではさらにトマトを入れるのも人気だそう。
スペインでは、肉や魚を酢でマリネして焼いたりフライにしたりする「アドバード」という料理があり、こちらも簡単でおすすめ。
にんにくやオレガノ、黒こしょうなどのスパイスと酢、オリーブオイル、塩を混ぜたマリネ液に一晩漬けて焼くだけ。
前日に混ぜ込んで翌日に焼くだけなので、レパートリーの定番にもってこいの「酢料理」です。とんかつ用の豚ロースや、鶏もも肉、淡泊な魚でどうぞ。
また、酢は酸味を感じない量(全体量の1%程度)を入れることによって、コクが出て美味しくなるほか、作り置きの際の日持ち向上にもなります。
酢を上手に普段の食事に取り入れて、美味しく健康的な生活を送りましょう。