発酵コラム 6
中国の発酵調味料 豆板醬
自然と人間の合作。
偶然と模索が生み出す発酵調味料。
豆板醬は、そら豆、唐辛子を主原料とする中国の発酵調味料。
皮をむいたそら豆を吸水させて蒸さずに麹にし、塩漬けにして発酵させ、唐辛子などを入れて熟成させたもの。
湿って菌の生じた蚕豆に唐辛子を混入させ、捨てずにおいたのがきっかけで偶然できたものを、徐々によりよい発酵方法を模索し現在に至っています。
日本でいう味噌にあたる調味料なので、一大産地である四川省では、家庭に常備されていて、色々な料理に使われます。
日本では味噌に豆板醬を混ぜてピリ辛にして作る回鍋肉も、四川では豆板醬をガツンと効かせるので、とても辛いのですね。
他にも日本でおなじみの中華料理には四川料理のものが多く、麻婆豆腐や担々麺、青椒肉絲も四川料理。
本場中国でも四川料理は人気が高く、全土で食べられています。
何となく中華料理と言えば辛い料理のイメージがありますが、地域によって辛さは違って、湖南省は四川省よりさらに辛く酸っぱい料理が多いようです。
「あまり辛くない地域」もありますが、日本人にはすでに辛い、との話もあるので要注意です。
5月ごろに出回る旬のそら豆を使って自家製豆板醬にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
そら豆の麹を作るのは難しいですが、代わりに日本が誇る米麹を使いましょう。
麹は生息する地を表すものですから、米麹で作る豆板醬はやはり本場の豆板醬とは違って味噌に近い味わいになるようです。
作り方は思ったよりも簡単で、茹でて薄皮をむいたそら豆を潰して、米麹、塩、唐辛子、水を混ぜて発酵させるだけ。
秋ごろには旨味たっぷりの自家製発酵調味料のできあがりです。
清潔な瓶で、空気が入らないように保存すれば2~3年持つそうです。
ちょっとそら豆を大量にむくのが大変そうですが…。
旬の季節にしか仕込めない発酵調味料を手作りしてみてはいかがでしょうか。