発酵コラム 21

麹菌と酵母はどう違うの?

どちらも自然界に存在する微生物。
でもちょっと違うんです。

発酵に興味が出てくると、よく目にする「麹菌」と「酵母」ですが、どう違うのでしょうか。
「麹菌」は、糸状細胞の微生物で、菌糸と呼ばれる糸状の細胞を広げて増えていきます。
カビの一種ですが、悪さをするカビとは異なり「人間にとって良いカビ」。
発酵の過程で、でんぷんを糖に変える「アミラーゼ」、たんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」など、さまざまな酵素を生み出すため、麹菌の発酵食品は、甘みと旨味がたっぷりの食品となります。
蒸した米や麦、豆などに麹菌をまんべんなくまぶしつけ、一定の温度に保たれた室(むろ)に入れると菌糸が伸びて麹になります。
米で作ると米麹、麦で作ると麦麹、大豆で作ると大豆麹となります。
できた麹に、水や他の原料を加えて発酵させて味噌、醤油、清酒、酢などの発酵食品をつくるのです。
味噌や酢はどんな麹を用いるかで、違った風味を楽しめますよ。

「酵母」は、原料をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物。
果物や花などの植物、空気中や建物の壁など、あらゆるところに存在しています。
お酒を作るのに欠かせない酵母は、ブドウ糖しか分解しません。
なので、果実酒はブドウ糖を持った果物の表面についた酵母によって、水があればお酒になってくれるのですが、 日本酒やビールの原料である米や麦などの穀物はでんぷんなので、どうにかして加水分解しないとアルコール発酵してくれないのです。

日本酒を作るには、先ほど出てきた「米麹」の出番です。
米麹と蒸した米、水、酵母を入れて発酵させます。
米麹によるでんぷんの糖へ分解と、酵母によるアルコール発酵が同時に行われる「並行複発酵」という醸造方法が日本酒の特徴です。

「酵母」の炭酸ガスを利用した発酵食品がパン。
アルコールは焼成時に飛んでしまうため、子供でも食べられる美味しいパンになります。

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