発酵コラム 2
クリスマスと発酵菓子
シュトレン、パネットーネ、ベラベッカ。
発酵の力を借りた、"待つ"ためのお菓子たち。
世界のクリスマス菓子にも発酵は欠かせません。
今回は、ヨーロッパで主にクリスマスに食べられている発酵菓子についてのお話です。
シュトレンはすっかり日本でも定番となりましたが、ドイツ発祥の伝統的な発酵菓子です。
サワー種で発酵させたパン生地にラム酒漬けドライフルーツやナッツを練り込み、しっかりと焼き込みます。
粉砂糖をかけて平べったい山型に成形したシュトレンは「おくるみ型」と呼ばれ、幼いキリストが白い“おくるみ”に包まれた姿に見立てているのだそうです。
11月頃に売り出され、薄く切って少しずつ食べながらクリスマスを待つためのお菓子シュトレン。
たっぷりの洋酒を含んだドライフルーツと、焼き上げた後に澄ましバターを何度も塗ることで外気から守られ、クリスマスまでの長い時間を楽しむことができます。
イタリアにはパネットーネという発酵パン菓子があります。
レーズンやプラム、オレンジピールなどを混ぜ込んで焼いた甘くて大きなパン。
生後すぐ初乳を飲んだ後の子牛の腸内から採集した物質と小麦粉を混合した発酵種を使ったものが伝統的で、この種を使うと長期保存が可能になるため、
かつてはクリスマス前の4週間(待降節)には各家庭で焼かれ親族や友人に配る習慣がありましたが、現在ではパン屋さんなどで購入する家庭も多いそう。
ベラベッカは、フランス・アルザス地方の発酵菓子で、
日本ではまだあまり知名度がありませんが、最近少しずつ知られてきたお菓子です。
フランス・アルザス地方の言葉で「洋梨のパン」という意味のベラベッカ。
少量の発酵生地にたっぷりのフルーツとナッツをぎゅっと閉じ込めた宝石のようなお菓子です。
赤ワインやウィスキーとの相性も抜群。こちらも薄く切ってクリスマスまで少しずつ楽しみます。
待つ時間を含めてクリスマスを楽しむのが、キリスト教圏ならではですね。